今回の13話を読むと、ジョジョランズ第1話の捉え方がちょっと変わってくる。そんな13話。個人的には節目の13話である。
正直言うと11話くらいまではちょっと間延びしてる感があった気がした。なんか本筋に入ってないというか…
それぞれのキャラのバックグラウンドがわからないだけに、ちょっと薄い印象があったのだ。
だが、13話は違うね!個人的にはこれよこれ!これがジョジョなのよ!っていう回。
不条理についての回だ。
不条理という言葉を辞書で引いてみよう
不条理とは
筋道が通らないこと 道理にそむくこと
新潮現代国語辞典より
今回の話は過去のエピソードが絡んでくる。
個人的にはジョジョにおいてはこういうエピソードが物語に深みを与えてくれると思っている。
好きな過去エピソードはブチャラティのエピソード。父親についていく、という行動でブチャラティの優しさを表現しているところが個人的にはすごく印象に残っている。
主人公キャラクターは過去が描かれがちだ。
ジョニィやジャイロの過去もそう、仗助もそう、承太郎は・・・あんなにいい子だったのになぜ不良のレッテルを貼られるようになってしまったのか。というか必要以上に喧嘩の相手をぶちのめしたり、いばるだけで能無しの教師に気合を入れたり、料金以下のまずい飯を食わせるレストランにカネを払わなかったりっていうのはもはやどこからどう見ても不良ではあるのだが・・・そこはまあ、置いておいて。
そんな承太郎先輩が微笑ましく見えるくらいに今回のエピソードはヤバい。
一回目読んでるときは「いつものジョジョだなあ」なんて思うんだけど、よくよく考えるとかなりヤバいエピソードだ。
ギャングを助けたジョルノや列の割り込みをしたジョニィとは違う。
そんなジョディオとドラゴナのエピソードだ。
この先、ネタバレ注意!!
ジョジョランズ 13話 ネタバレ感想
簡単に説明すると・・・4年前、ドラゴナはイジメにあっていた。
脅されたり殴られたり、なんと乳首ビューラーもされていた。
イジメの質がちょっと性的なニュアンスがあるため、単純な肉体的イジメよりも精神にくるものがありそうだ。そして、あまりにも過激なイジメではない、というところがなんとも言えない。一発で不登校になったり、問題になったりすることは無いが、少しづつ精神が削られていくようなイジメ。これは後のドラゴナのセリフにも現れている。
そんなドラゴナを助けたのはジョディオだった。
ノーヴェンバー・レインでイジメのリーダーの女のまぶたを破ったのだ。
後日
ジョディオはノーヴェンバー・レインで通学バスを閉鎖すると、内側に火を放った。(描写的にはどうやってバス内部に引火させたのかは不明である)
※車を炎上させるのは第一話もそうだった。思えばあのときもドラゴナが理不尽な目にあっていた。ちょっとこのあたりが第一話のエピソードとダブる感じがある。
ペットボトルが倒れる描写、とその後に激しく炎上していることからペットボトルには燃料が入っていたと思われる。
バス内部にインコがいたことから、ジョディオはノーヴェンバー・レインで火を消す。
結果約20人が火傷を負った。
結果的に死者は出なかったが、大量殺人未遂である。
ドラゴナはジョディオがやったことに気づいていた。「あんた病気だよ 病院に行くべき」
当然といえば当然だ。20人をバスで焼き殺そうとしたわけだからな。
だが・・・・
ドラゴナはその夜安心してよく眠れた。
ジョディオ・・・・・・・あたしの弟
ありがとう
自分でも気付かないうちに
心が死にかけていた・・・・魂が壊れたらきっと元には戻らない・・・・そうなる前だった
あたし 強くなる
自分でも気づかないうちに心が死にかけていたって秀逸な表現だよね。
その時ドラゴナに起こった出来事は、理不尽もしくは不条理の出来事。
不条理は「おまえはちっぽけなカス野郎だぜ!」というフザけた悪魔の囁きとともに決して自分には責任がないのに最も重要な出来事として襲ってくる
そしてジョディオの父親は保険の会社をクビになってしまった。
バス事件の保険金が何故か10倍払われ、それを認めた父の責任になぜかすり替わった。そして父はハワイにはいられなくなった。
家庭がばらばらになりかけたその時、ジョースター兄弟に声をかけたのはメリル・メイだった。
このエピソードを挟むとチャーミング・マンの話につながってくる。
まず彼は弟を大事にしていて、弟を探したがっている、ということ。
ここに関してはドラゴナは他のメンバーとは感覚が違うのかもしれない。
チャーミングマンの情報
- 溶岩が落ちてきたのはフアラライ山の「西の斜面」
- 露伴は溶岩の特性を知りたくて実験していた
- 露伴が見つけたのは2個(うち一個はジョディオが破壊)
- 山の上にはもっと大きい溶岩がありそう
- しかしそこの土地は「HOULER」という会社が所有
- 溶岩をたどれば謎が解けるはず
- だが調べようとすると何故か社会的な邪魔が入る
- 不条理
そこでメリルメイ
溶岩は金の流れの「システム」になる
山の権利を奪おうというメリル名のプラン
500億ドル、取り分は一人4%・・・・・
ジョジョランズ13話 考察
キーワード
不条理という言葉がキーワードですね。
大統領も言ってましたが、この世の幸福と不条理はプラスマイナスゼロなのか、
また等価交換的な話になるのか
どちらなんでしょうね。
システムとメカニズムのニュアンスの違い
ジョディオは仕組みを「メカニズム」と表現してましたが、メリルメイは「システム」という言葉を使いました。
辞書によると、
システム→複雑な要素によって構成されながら、全体として一つの統一性を持っている組織。
メカニズム→作用機構。仕組み。機序。
とあります。
ちょっとメカニズムがシンプルな解釈な気もしますが、メカニズムのほうが機械的でシステムのほうが人間的な感じはしますね。
溶岩の特性がメカニズムよりシステム寄りな気がするんですが、ここではあまり深く考えないほうがいいような気がします。
運命や因果律
7部のD4Cラブトレインやチケットトゥライド、8部のワンダーオブUなど、運命や因果律的な要素が強くなってきましたね。
9部ラストは「不条理を壊す」的な展開になるのでしょうか。
ジョジョにおける運命のいたずら
個人的にはプッチ神父こそ一番運命に翻弄されたキャラだと思っている。
死んだと思った弟が実は生きてるし、その弟は妹と知り合ってるし、なんかいつの間にか付き合ってるし、私立探偵に弟がボコられるし、結果妹は死んじゃうし・・・・
ドラゴナのイジメのきっかけは?
作中ではバレーボールのシーンからしか描かれていません。
ドラゴナの態度や表情から考察すると、そんなに長い間イジメにあっていたというわけではなさそうです。
小学生の時からいじめられていたら、あんなふうにはならない。(なぜニュージャージーから引っ越したのかは明記されてませんが、イジメが原因でニュージャージーからハワイまで引っ越すというのは日本人の僕からしてもちょっと違う気がする)
14歳、という年齢。ビューラーやタマの件から見る限りでは、14歳の年にたまたまなにかの時に「身体は男だが心は女性に近い」事実が周囲に知られてしまったのでしょう。14歳は中学二年生。周りの人間がその事実を大人のように受け入れるか?というとそうではないことは容易に想像がつきます。今でこそ世の中的にジェンダーギャップや性自認関連の話題が取り上げられるようになりましたが、昔はそうではなかった。
それがドラゴナのイジメにつながっていた、と推測します。
そして本編の感想でも書きましたが、ドラゴナのイジメは「完全に無視される」「集団でリンチされる」などの苛烈なイジメではありません。
本人も「からかわれているだけなのか、イジメなのかわからない」「学校に行けないほど不安な訳では無い」
自覚症状は薄いが確実にいつか限界が来る、というタイプのイジメです。
ここのさじ加減こそが荒木先生の真骨頂だと思います。
そして、すべての事情を描かない。あえて読者に想像させることでこのエピソードは深みが出てるんじゃないかなと。個人的にはそんなふうに考察します。
溶岩の闇
今のところジョディオたちは溶岩のかけらによって金を手に入れています。
ここで考えてもらいたいのは、ジョディオたちによって生み出された不条理も存在するだろうということです。
露伴にとってはジョディオたちの存在も不条理だし
レオくんなんて時計はなくなる、車は壊れる、彼女とはうまくいかない、って感じで散々である。
今は山の権利を奪う話になってますが、その影響は規模が大きくなればなるほど大きくなります。
その不条理がいつかジョディオたちに返ってくるのでは?なんて僕は想像してるんですが、果たして・・・・
来月を楽しみに待ちましょう。