今回は手放しで万雷の拍手を送りたい世の中のボケの一人です。一言で言いますと素晴らしい作品でした。
懺悔室は岸辺露伴は動かないの第一作目。
文字通りほとんど動いてないし、内容も奇妙な感じで「荒木先生の短編」って感じでとても印象に残った作品です。
それが実写に!
ルーヴルはそれなりに長いので納得でしたが、この懺悔室がどう映画になるのか!?
とても楽しみでしたが、期待以上の作品でした。素晴らしい!
実写版懺悔室 オリジナル要素
序盤から登場する仮面職人のマリアちゃん。
原作読んでてこの役どころって事は…となるんですが、まあその通り。
玉城ティナさんが演じておりましたが、何というか、絶妙なハーフ感が良い感じです。
ルーヴルの時の木村文乃さんもそうでしたが、岸辺露伴シリーズには「影」が必要なんですよね。ただ美人なだけではない「暗さ」というか。
逆を言うと、影のない「光」の要素は飯豊まりえさん演じる泉京香だけなんじゃないかなと思います。まあ、どピンクのコートはびっくりしましたね。
フィルムカメラみたいな質感で撮られている映像の中でのあのビビットなピンクですから。
そしてオリジナルの追加ストーリーです。
ぶっちゃけ原作要素は半分で終わるし、ほとんどそのまんま。
個人的には「お嬢様!いかがなされましたか!」からの→「うるせェー!!」ボゴォを楽しみにしていたのですが、さすがにそれは無かった。形相の変わりようも楽しみでしたが、あえて「無」にすることで不気味な感じが出ていました。
原作の最後にある「娘が幸せの絶頂の時にまた来る」という一文をうまく拾ってストーリーにした感じが素晴らしい。
結果的には娘の幸せを願うことができない人生というか、むしろ「娘の幸せを摘み取っていく」という人生を送らせることこそが呪いなんじゃないかな?とさえ思いました。
自分も子供を持つ身として思いますが、我が子の幸せを素直に喜ぶことができないというのはそれだけでも絶望的な人生に値する…
実写版懺悔室 見どころ(ネタバレ注意)
ポップコーンシーンでの原作再現度は見事としか言いようがありません。荒木先生に取材先を教えてもらったのかな?と思うくらいのバッチリハマった感があります。
そしてヴェネツィアの歴史があって綺麗な中に影があるあの感じ。
街並みもそうですが建物内の雰囲気も素晴らしく、どのシーンを切り取っても絵になるような映像が続きます。
個人的には教会とマリアのアパートの雰囲気が素敵だと思いました。
あと、音楽。
雰囲気を盛り上げるいつもの奇妙なBGM、後半のオペラなど、今回は映像と音楽のマッチングが特に素晴らしかったと思います。
そして原点でもある「岸辺露伴は動かない」感。
今回は直接的に露伴が呪われる話ではありません。(多少の影響を受けますが)
だからこその何処となくの他人事感というか、傍観者感というか。結果的にマリアを救うことには成功するのですが(ここは荒木先生流の王道展開)、直接的な解決方法ではないんですよ。
ヘブンズ・ドアーは対一般人ならチート級の能力ですし、ルーヴルでは自分の記憶を消して危機を脱しています。力業で攻めるなら「呪いに関する記憶を消す」という書き込みもできたはず。
マリアが死んだと見せかける事によって絶望を体験させ、結果的に呪いからの解放を達成する。という直接的ではない解決方法で今回の件を解決しました。
露伴が関わらなければ「自らの手で娘の幸せを奪い続けた挙げ句、自らの手で娘の命を奪ってしまい、結果的には絶望する」という最悪のシナリオまであり得たわけですから。
まあ、その場に留まられても困りますが、娘を失った直後に「助かった」と言って出ていくのはなんとなく違和感がありましたが、展開上仕方ないですね。
あとここからは、さらに個人的な感想です。
今回の「懺悔室」は、んん????みたいな要素が一切ありませんでした。
まさに集大成というか…
今だから言える事ですが、ルーヴルは多少の???要素がありました。主に「露伴くんっ」あたりですが。そんな要素が多少なりともあることは覚悟していました。オリジナル要素が強くなることは覚悟していましたので。
ですが蓋を開けると違和感など微塵もない。
井浦新さんの「無理無理無理無理無理無理ィ」でさえキレイにハマっていたというか、ちゃんと荒木先生っぽさを出しているんですよね。
すべてがキレイにまとまった、ダークなんだけど気持ち悪さがない、そんな感じ。
素晴らしかったです。
あと、ちょっとした小ネタですが、てんとう虫のピアスにはグッときましたね。イタリアですからね。
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